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第五回日本三大御湯 微温湯温泉(福島県)

温泉の効能は場所によって様々ですが、中でも眼の病気によく効くとされている三つの温泉を「日本三大眼の温泉」と称しています。福島県の「微温湯(ぬるゆ)温泉」は、そのひとつに数えられる、山の奥にある温泉です。

急勾配の山道を抜けてたどり着く湯宿

微温湯温泉は、福島市の中心部から南東へ約18km、吾妻連峰のひとつ、吾妻小富士(擂鉢山)の東中腹にある一軒宿の温泉です。

「微温湯」と書いて「ぬるゆ」と読み、その名の通り源泉温度が低いことでも知られています。「日本ぬる湯温泉番付」では、東の横綱に位置する温泉遺産としても大変貴重なものなのです。

福島盆地から県道126号線を西へ進み、くねくねとカーブを繰り返し、急な勾配の上り坂も多い山道をどんどん進んでいった先の突き当たりに、ひっそりと建つ木造の宿が見えてきます。それが微温湯温泉の一軒宿「旅館二階堂」です。

明治10年(1877年)頃に建てられたと言われる宿の建物は、茅葺き二階建て。日本人なら誰でも懐かしさを感じるであろう木の建造物のぬくもりが、外からの眺めでも伝わってきます。ここまでの道のりの苦労を忘れてしまいそうな佇まいに、心底ほっとすることでしょう。

猟犬の「けがの功名」で発見された秘湯

この地に温泉が発見されたのは、江戸時代中期の享保年間(西暦1716~1735年)。徳川8代将軍吉宗が将軍職に就いていた時代です。

伝説によると、吾妻山で狩りをしていた猟犬がけがをし、その飼い主である狩人が猟犬の傷の手当のために湧いている水を汲もうとしたところ、その水が実は温泉であったということが分かったとのこと。

つまり、文字通り「けがの功名」で発見された温泉なのです。その後、1803年(享和3年)にこの温泉を所有するようになったのが、二階堂傳四郎(にかいどうでんしろう)という人物です。この人こそ、現在の「旅館二階堂」のご先祖にあたります。

以来、江戸時代末期から明治、そして大正、昭和、平成と代々二階堂家によって建物や宿泊設備、入浴設備などが整備され、現在まで続いています。

残念ながら、明治時代最初期にこの地域を戦場とした戊辰戦争の際に建物が焼かれてしまいましたが、その後再建し、さらに大正時代に宿泊棟を増築した建物が現在のものです。

時代の変遷にも歴史的な戦にも負けず、ことごとく立ち直ってきたこの温泉には、代々当主の並々ならぬ愛情と熱意が込められていたことが容易に想像できます。

また歴代の当主は宿を営む他に、この地域山間部の自然保護や山の安全、または登山客の指導にもあたるなどの業績を重ねてきたそうです。

狩人が偶然見付けたこの山奥の秘湯を、現在までこつこつと守り続けてきた二階堂家代々の皆さんの努力には感服せざるを得ません。

ぬるいお湯だからできる長湯の効果

「微温湯」の名前の通り、こちらの温泉のお湯は源泉温度が約32℃とかなりぬるめになっています。

「旅館二階堂」のお風呂は、内湯の男湯・女湯それぞれに二種類の浴槽が用意されています。

ひとつは強化プラスチック製の浴槽に源泉を約42℃になるまで加熱循環したお風呂で、もうひとつが木造の浴槽の源泉掛け流しの湯です。

まず試してみたいのがこちらの源泉掛け流しのお風呂。豊富に湧出する源泉が、湯筒からドボドボと豪快に浴槽に流れ込む様子は、見た目にもとても贅沢な気分にさせてくれます。

お湯に浸かると誰もが最初は冷たいと感じますが、かえってそのおかげで自然と長湯となり、体に余分な負担をかけることなくゆっくりと入浴をすることができます。

長い時間をかけて次第に温泉の成分が体にじんわりと沁みていき、とても心地良い入浴を楽しめますので、ぜひとも30分から1時間程入っていたいものです。

万が一、体の温まり方が遅く感じるようであれば、加熱循環のお湯に入って温まることができます。温まったあとは再びぬる湯に入り、源泉掛け流しの効能を得るのもおすすめです。

微温湯温泉のお湯は夏の暑い時期に入ると最も気持ちが良いとの声が多いようです。ぬるめのお湯に長く入ることが暑い時期には最適な入浴方法ですし、酸性のお湯を浴びたあとのさっぱり感が爽やかに感じられるからです。

「日本三大眼の湯」の秘密

さて、こちらのお湯の泉質は「含アルミニウム泉」になります。かつては「酸性明礬緑礬泉(さんせいみょうばんりょくばんせん)」と呼ばれていたことからも分かるように、さっぱりと爽快な浴後を感じられる酸性のお湯です。

そして、さらに注目したいのが明礬の成分です。殺菌効果が強いため、かつては目薬や洗眼にも使用されていた明礬成分が眼に効き、長い時間お湯に浸かっていることで白内障や緑内障、結膜炎、眼精疲労、ドライアイなどといった眼の疾患に良い効果があるとされています。

この微温湯温泉の湧出量は1分あたり194リットルと多いことから、「日本三大眼の温泉」のひとつに数えられています。

そのため、微温湯温泉に訪れる湯治客の多くはお湯に浸かるだけではなく、お湯を眼にかけて洗います。直接洗うことに抵抗がある人は、温泉のお湯を浸したタオルを眼にかぶせたり、ゆっくり浸かってじっと眼を閉じたりするなどの方法を試してみるのも良いでしょう。

実際に、この人里離れた山奥の秘湯に訪れる湯治客には、眼の疾患に悩んでいる人が多いと言います。

温泉の効果には個人差がありますが、中には眼科でも治せなかった眼の病が微温湯温泉に通い続けたことによって回復した人や、お子さんの眼の病気が軽くなった人、さらに眼の手術の前にこの地で湯治を続けたことにより手術を無事に終えられた人もいるそうです。

とりわけ眼の治療を受け続けている常連客には、宿の厚意で自宅でも洗眼に使えるよう特別に微温湯温泉のお湯を送っている人もいるとのことです。

宿泊者のマナーによって守られる温泉

微温湯温泉「旅館二階堂」は山深い奥地にあり、冬には積雪も多いことなどの理由から、一年のうち冬から春にかけては営業を休止しています。

つまり、ここのお湯を体験できるのは初夏から秋にかけての半年余りに限られます。もちろん、眼の病を抱えている方にとってもその条件は同じです。

そのため、利用客にはより一層の節度とマナーが求められると言えるでしょう。近年の秘湯ブームとインターネットの普及などにより、もとは知る人ぞ知る場所であった所の認知度が高まってきています。

それはより多くの人たちに素敵な情報を広めるという点では素晴らしいことではありますが、日本古来の「湯治」の文化がその粋を理解できない人によって汚されてしまうおそれも増えていることも事実です。

微温湯温泉のような貴重な温泉宿は、日本国内を探しても決して多くはありません。「秘湯」が「秘湯」のままこれからも愛され続けていくためには、私たち利用者がマナーと愛情を持って温泉を楽しむことが何よりも大切です。